相互フォローは逆効果? 知らないと危ない、Substack相互フォロー戦略の罠
結論から言うと
Substackでの「とりあえず相互フォロー」戦略はうまくいかない可能性が高い。
少なくとも不利に機能しやすいと思われる。
今日はそんな話をします。
内向型のためのSubstack運用論や自分を取り戻すための思考を届けます
はじめに
Substackを始めて少し経つと、ある光景に気づくでしょう。
「相互フォローしましょう」
「フォロバします」
「みんなで一緒に伸ばそう」
こういう投稿がどんどん流れてくる。
日本のSubstackはまだまだアーリーアダプター期。
みんな手探りで相互フォロー戦略をとろうとしている人が多いです。
これはまあ当然ですね。
もともと私は内向型ということもあり、相互フォローでぐいぐいいくのが得意ではありません。
だから距離を置いていたのですが、それだけでは説明しきれない違和感があったんですよ。
最初は小さな違和感でした。
けれど調べていくうちに「これはどうも構造的なものじゃないか?」「そもそも相互フォローってリスク高いんじゃないか?」となってきたし、やがて確信に変わりました。
以下、相互フォロー戦略について調べたことをまとめたうえで、「結局どうすればいいの?」について書いていきます。
海外での相互フォロー評価
まず事実関係から。
英語圏のSubstackでは、相互フォロー戦略は「通用しない」と結論が出ている節があります。
少なくとも正面から否定する書き手が複数いて、しかもそれぞれが独立に同じ場所を指している。
たとえばSimon K. Jones というイギリスのライターはこう書いています。
「フォローや購読を依頼するメッセージを送るな。究極のクリンジ(注:バカげたこと、くらいのスラング)だ」
“Don’t message people asking for follows/subscribes. It is ultimate cringe”
「自分が登録したからという理由だけで登録し返してくる人は、あなた自身にも、あなたの作品にも興味がない。興味があるのは自分の数字を伸ばすことだけだ。 ここでは「お互い様」のやり方では遠くまで行けない」
“If someone subscribes to you for no reason other than you subscribed to them, it means they’re not interested in you or your work. They’re only interested in their own growth. Quid pro quo doesn’t get you far here”
かなり強い言葉ですが、核心を突いています。
Simonは主に記事の購読について語っていますが、相互フォローでもまったく同じですね。
購読者>フォロワーという構造
そもそも論として、Substackの公式仕様を読むと、運営自身が「フォロワー」を補助的なものとして扱っているのが分かります。
公式ヘルプにこう書いてあるんですよ。
「もっとも重要なのは購読の関係である。ユーザーがフォローできるのはプロフィールであって、パブリケーションではない。だから、誰かがあなたのSubstac記事にたどり着いたとき、画面に出るのは「フォロー」ではなく「登録(購読)」だけだ。プロフィール画面とNotesのフィードでも、Substack側は登録ボタンを優先して表示している」
“For creators with publications, the subscription relationship is the most important. Users can follow profiles, not publications, so when someone lands on your Substack publication they will not see the option to follow, only to subscribe. We prioritize the subscription button on your profile and in the Notes feed”
出典: https://support.substack.com/hc/en-us/articles/18163273015700
これは結構決定的な仕様です。
記事のページに来た読者は、そもそもフォローボタンを目にしません。登録(=購読)ボタンしか見えない。
つまりSubstackは設計レベルで「購読 > フォロー」となっている。
それはそうですよね。Substackにとっての収益源は有料記事の手数料なんですから。
ここを誤解したまま「相互フォロー」にこだわっていると運営が想定していない使い方をしていることになる。当然、結果は出ません。
アルゴリズムから見た場合
アルゴリズムの観点からみても、相互フォローは不利になりやすい。
前回の記事でも取り上げましたが、Substackの機械学習部門責任者Mike Cohenと共同創設者のHamish McKenzieが、イベントでアルゴリズムの仕組みを説明しています。
「私たちが見ているのは、Substackアプリを開いている一人ひとりの個人としてのあなただ。世界のどこにいるか、何語を話すか、何を購読しているか、誰をフォローしているか、どんな関心を登録しているか──そういったものをまず見る。
それを数値表現に変換しようとしている。そうすれば、あなたのフィードに表示する候補のコンテンツと比較できるからだ」
“We take a look at who you are as an individual opening the Substack app, where you are in the world, what language you speak, what things you’re subscribed to, who you follow, and what interests you’ve specified, among other things.
We try to turn that into a numerical representation so that we can compare it to things that you might want to load in your feed.”
言い直すと、アルゴリズムはあなたのフォロワーが他に何を読んでいるかをちゃんと見ている。これが相互フォロー戦略最大の問題点です。
相互フォローで集まった相手は、本来あなたのコンテンツに興味があってフォローしたわけではない。「フォロー返しが欲しいからフォローした」だけ。
彼らが普段読んでいるのは、あなたの領域とは関係ない別の何かです。
あなたは仕事論について発信したいのに、相互フォローで繋がったひとたちはSubstack攻略の話をしている。これでうまくいくわけがありません。
自分と同じジャンルやクラスタにリーチしづらくなるわけだから、購読だってフォロワーだって伸びないに決まっています。
知らず知らずのうちにこの罠に陥っている人は、相当数いるのではないかと考えています。
現場でも批判の声は多い
もう一つ興味深いのが、相互フォロー目的のフォローはコミュニティ内で見抜かれているということです。
公式ブログのコメント欄に、こういう書き込みがあります。
“Everyone who "follows" me are all pay sites fishing for subscribers. I NEVER follow back”
「自分をフォローしてくる人たちは全員、購読者を釣ろうとしている有料サイトばかり。私は絶対にフォロー返ししない」
https://on.substack.com/p/how-publishers-are-using-notes-to-grow/comments
このコメントはNotes自体にも否定的ですし、かなり苛立っている様子はありますが、それはそれとして、このように考えている人は決して少なくない可能性があります。
シンプルに考えて、「フォローを返してもらうためのフォロー」は長期的にはうまくいかない。
フォローバックした相手も同じく数字目的なわけで、記事購読にはつながらない。
お互いに数字だけ増やしておしまい、というわけです。
前回も取り上げたWES PEARCEは主要なグロースハックを片っ端から検証して、このようにまとめています。
「オートフォロー、エンゲージメントポッド、最適時間スケジューラ。
これらの大半は約束通りに動かないか、本物の購読に転換しないタイプの人工的なエンゲージメントを生んだだけ。
結果:虚栄指標(vanity metrics)の膨張と、意味ある成長ゼロ」“I tried various tools that promised to automate growth—auto-followers, engagement pods, scheduling tools that would post at “optimal” times.
Most of these tools either didn’t work as promised or created the kind of artificial engagement that doesn’t convert to real subscribers.
Results: Inflated vanity metrics, zero meaningful growth”
要するに、テクニックとしての相互フォローはあらゆる面から見て不利になると考えられる。
ここまでが、海外のデータを集めた私の結論です。
なぜ相互フォローが機能しないのか
もう少し噛み砕いて見ていきます。
1:相互フォロー=購読、ではない
再確認しますが、Substackには「フォロワー」と「購読者」という、2つの異なる関係性があります。
フォロワーは、文字通りフォローしたひと。Notesと一部の活動を見るだけの存在。メールは届きませんよね。
購読者は、メールを受け取り、長文記事を読む存在。Substack的にはこちらが本命です。以前の記事でも書いたのでそちらもご参照ください。
で、ここを混同すると事故るんですよ。
端的に言うと、「相互フォローでフォロワー数を増やしても、Substack的に本来の目的である「自分の記事を読んでもらう」には繋がりにくい」わけです。
冷静に考えてみてください。
大手アカウントの「相互フォローでみんな繋がりましょう!」に乗っかったとします。
なるほど、あなたはその大手アカウントのNotesは見るでしょう。記事も購読するでしょう。
じゃあそれ以外の「相互」の発信を見ますか?
購読してメール開封して記事を読みますか?
しませんよね。
よっぽどその人の発信が好きならともかく、普通はスルーです。
見るとしても最初だけでしょうね。コンテンツのためではなく、相互フォローのためにフォローしたんですから当然です。
気づけば相互なのに
記事を開かない(自分の発信に忙しい)
いいねも形式的(中身を読まずに押している)
解除するでもなく、やり取りするでもなく、名前だけ残り続ける
配信メールを開かないので、開封率にもマイナス
こんなことになるわけですね。
いわば中身のない数字なわけです。
——とまあ、ここまでは理解している方も多いでしょう。
真の問題はここから先です。
2:アルゴリズムは「反応の質」を見ている
これが一番大きく、見落とされているポイント。
Substackのアルゴリズムは、フォロワー数ではなく、読者の能動的な反応を重視している可能性が高い。少なくともそう推測出来ます。
具体的には開封率、滞在時間、リスタック率、有料転換率などなど。
たびたびの引用になりますが、WES PEARCEいわく
「初期のエンゲージメントがフォロワー数より重要だ。100フォロワーのライターのNotesが、10,000+フォロワーのものを上回るのを見てきた。エンゲージメントが本物だったから。アルゴリズムはうその指標ではなく会話を気にかける」
“Early engagement matters more than follower count. I’ve seen Notes from writers with 100 followers outperform those with 10,000+ because the engagement was genuine. The algorithm cares about conversation, not vanity metrics”
要するに、ただの「相互フォロー」で人を集めると、エンゲージメントの質が下がるんですよ。
相互フォローの発信をぜんぶちゃんと見る人などいませんからね。当たり前です。
結果、アルゴリズムから見ると「フォロワーは多いが反応の薄いアカウント」と判定され、推薦から外されやすくなる。
これはXでも起きていることですが、それがもっと極端な形になるわけですね。
3:フォロワー=持ち出せない資産
Substackの特徴として、購読者のメールリストはCSVでエクスポートできます。
つまり、純粋に試算となる。
でもフォロワーは持ち出せない。
時間と労力をかけて積み上げたものが、プラットフォームに依存して消える可能性がある。
これはリスク分散の観点からも合理的ではありません。
そもそもSubstack最大の武器は、この「購読」および「メールリスト」という仕組みです。これがあるからこそ、ここまで広まっていると言えます。
ただ相互フォローにこだわっても、有効活用にはならないわけですね。
「みんなやっている」を疑おう
以上、相互フォロー戦略が合理的ではない理由を見てきました。
ではなぜ、これほど広く相互フォロー戦略が採用されているのか?
理由はおそらく以下のとおり。
母数が少なすぎて、自然成長を待つのが苦しい
短期的な数字が見えやすく、焦る
X的な「相互フォロー文化」が、そのまま持ち込まれている
過去の成功体験(別のプラットフォームで相互フォローが効いた経験)を引きずっている
つまりこれは「なんとなく」による行動です。
ある戦略が広く採用されているのに、採用者の大半が結果を出せていないとき、その戦略は以下のいずれかです。
そもそも間違っている
昔は機能したが、もう機能しない
特定の条件下でしか機能しないのに、無条件に適用されている
やっている本人にとっては心理的安全をもたらすが、結果には繋がらない
相互フォロー戦略は、3と4の複合でしょう。
一定の効果も実感もある。だから採用者が多い。
しかし長期的な結果には直結しにくい。
ここは現実として理解しておいた方がいいように思います。
結局、どうすればいいか?
私自身が大きな結果を出しているわけではないので偉そうなことは言えませんが、私の感覚では以下の通り。
1. 数字ではなく反応の質を見る
指標を、フォロワー数からアクティブ読者率に変える。
1万人の「相互なだけ」より、熱心な100人です。これはどのSNSでも同じですが、Substackでは特に重要でしょう。
具体的には、
メール開封率
登録者数(フォロワー数ではありません)
リスタック率
コメントの中身(形式的なものではなく、内容のある反応)
このあたりを重視するといいですね。
数字が小さくても反応が強ければアルゴリズム的にも有利。
数は大事ですが、そこを追いかけすぎるとミスります。
2. 相互フォロー目的のフォローには応じない
ここは難しいところですが、実践した方がいいと考えています。
価値観や読者層が重ならない相手と相互フォローしても、お互いに何も得られない。それどころか、双方にとってマイナスになり得る。
相互フォローも有効な時期がある。それは確かです。
ただ長期的な有効性は考えた方がいいし、そもそもSubstackは継続性のメディア。
「相互でつながりませんか」より「フォローしたいからフォローする」の方が結果的にもうまくいく可能性が高いです。
3. 質の高いコンテンツを出し続ける
結局これです。これしかありません。
自分が書けて、続けられて、需要のある分野でコンテンツを出し続ける。
Notesも活用し、首尾一貫した記事を届け、フォロワーを、購読者を増やしていく。
結局はそこに帰着します。
繰り返しになりますが、Substackは「購読」を目的とするソーシャルメディア。
良質なコンテンツと濃いつながりは生命線です。
そこをスルーして「相互」をやっても下手をするとマイナスになる。
この点は繰り返し伝えていきたいと思います。
補足:うまく機能するパターン
念のため補足しておくと、相互フォロー戦略が有効に機能するパターンは2つあります。
1つ目は本当の最初期。
この場合、自分のNotesや記事を読んでもらうために相互フォロー作戦をとるのはありでしょう。発信ジャンルが同じならなおさら有効でしょうね。
2つ目はあなた自信が力のあるインフルエンサーである場合。
この場合、相互フォローというよりは支持層を固める動きになります。あなたが相手の記事を読まなくても、相手はあなたの記事を読んでくれるわけですから。
現状、他のプラットフォームで力のある人の呼びかけはこのパターンが多いと考えられます。
勘違いしてほしくないのですが、相互フォロー=悪ではありません。条件次第で機能するときはあります。
ただし、一般的にはそこまで有効な戦略にはなり得ないし、多くの人にとってはマイナスとなる可能性もある。この点を理解して、相互フォローを使っていった方がいいのではないかというお話ですね。
以上、本日は「Substackで相互フォローにこだわらない方がいい理由」を解説していきました。
この記事があなたの役に立つことを祈っています。
内向型のためのSubstack運用論や自分を取り戻すための思考を届けます


